暮らし
おじゃるの話~良薬は口に苦し編~

いつも私の行くとこ付いてきて、たまに、どんくさいことをしてくれたり、とぼけた所もあったりで、とっても可愛い猫なのです。

そのおじゃるが、昨年5月頃、血の混じった唾液を吐くようになり、近所の動物病院へ。緊急事態宣言が終わりに近づくころ『これは、不要不急の外出だから!』と、緊張感と不安を胸に、おじゃるを抱えて行ったのを思い出す。
口の中が炎症をおこしている(口内細菌により、ありがちなことらしい)ので、抗生物質の錠剤をもらい、投与すること2週間。薬がきれたら、また吐く。そして、病院へ。の繰り返しで、2カ月ぐらいかかっただろうか。
暑い夏を乗り越え、秋口にまた血まじりの唾液発見!
この時は、投薬の期間は1ケ月ぐらいで済んだけど、年末、また、血まじり唾液にくわえ、食欲も失せてきて、そして、私に近づいて来ない!これは、おかしいっ!『だ、だ、大丈夫か?!』と、主治医のみどり先生の元へ。
近所の動物病院には、同じ苗字の先生が3人いて、苗字で呼ぶとややこしいので、名前で呼ぶうちの、みどり先生にあたる事が多く、今では、おじゃるの主治医ともいうぐらいによく診てくださる。「みどり先生」と聞くと、どうしても、ドクタースランプアラレちゃんに登場する、おっとりしたみどり先生が頭に浮かび、にんまりしてしまう。
みどり先生の話では、リンパが腫れ、炎症で歯茎も盛り上がり、フードを食べたり、唾液が溜まると、傷口に当たるか沁みるかで痛くて、食欲も減って、元気もないのでしょう!と、抗生物質と、ステロイドのお薬が処方された。
『また、苦難の日々か・・・』と、いかり肩の私が、なで肩になる。
猫への投薬、大変なんですよ~。フードに混ぜると、薬だけ残す。飲んでも吐き出す。チュールや鰹節でごまかされて、たまに、飲んでくれることもあるけど、基本は、お薬嫌いな猫。確実に、薬を飲ませるには、直に、口に放り込むしかない!
抗生物質だけの時は、まだ、薬も飲ませやすかった。粒も小さいし、フードや鰹節にまぎれて、食べてくれることも多かったので、苦難のうちに入るか入らないかぐらいだったが、ステロイドのお薬は、格闘しなければならなかった。
おじゃるが、気を許している隙に、ガシッ!と体を引き寄せ、頭を固定し、口を開けさせ、喉にむかって薬を投げ入れる。飲み込むまで口を開かないよう、ぎゅっと抑え込み、ゴクッという音を聞いてから、「今日も、えらかったね~!おじゃる、偉いよ~!すごいよ~~!」となでなでしながら、褒めてあげる。
これがすんなり出来るほど、日々、甘くはない。おじゃるも、「お薬なんか飲むもんかっ!」と、必死で抵抗してくる。嫌がるのを無理やり投薬する私のメンタルも疲れてきて、『吐くこともなくなったし・・・』と、自己判断で、2月は、病院に行かなかった。
3月末、また、血交じり唾液を吐くようになったし、食も細くなってきたので、みどり先生に助けてもらいに行き、そして、投薬格闘の日々が、再開となる。
薬を飲んでる間は、ごきげんさんなのだけど、減らしたりすると、たまに吐くようになる。フードに紛れ込ませておくと、いつの間にか、薬がなくなってる日も多くなり、格闘の日々は、数日に一度となる。それでも、投薬に対する復讐か?と思われることもしてくれた。

(トムとジェリーと友は言う)
大好きなノートパソコンに乗りたがるので、素麺が入っていた木箱でキーボードを保護していたのだが、ある日、木箱を準備する前に、爪とぎしてくれたから、無残にもこんな事になってしまった・・・

(今は、慣れない外付けキーボードを使用)
6月には、リンパの腫れもなくなったが、投薬は続く。みどり先生からは、「薬を飲まなくなったら、すぐ病院へ来てください」と言われてたのが、プレッシャーにもなっていたらしく、格闘が必要とされる時には、胃がキリキリと痛むようになった。『私も、とうとう胃に来たか・・・』と、投薬が自分にとって、とってもストレスになっているのを実感する。
6月最後の日曜日、私は胃薬を飲み、投薬の格闘に立ち向かう!この日はやたらと抵抗が強く、逃げ回り、私の腕を赤くさせながらも、一度は、おじゃるも薬を飲んだ。だが、吐き出した。しばらく時間をおいて、再度チャレンジしてみても、結果は同じ。諦めに似た落ち込み感をもって、病院に電話をした。
翌日、飛び込み(予約なし)での診察のため、長く待たされたが、順番が回ってきた時には、ちょっと気が安まる。みどり先生は、お休みの日だったので、若い小柄な女性の先生がみてくれた。
カルテを見ながら、「薬を飲まない・・・ということですが、この薬(ステロイドのお薬)は、良い薬なのだけど、猫にとって、相当苦くて、飲まないことが多いのに、よく、こんな長い期間、飲ませられましたね~」と、先生は言った。
私の今までの苦労、胃痛までするこのストレスをわかってくれた上に、褒められた気がして、涙が出そうになった。
「なんとか、いろんな手を使ってがんばりましたが、私、もう、限界です」と言ったら、「緩和剤は試されました?」と先生。
緩和剤って何ですか?と聞くと、薬をコーティングして、薬の味をわからなくするものだといって、

これを出してきた。少しちぎったものを、おじゃるもおいそうに食べた。
その日は、注射でお薬注入してもらい、家で様子をみることになった。
それからは、格闘することもなく、私の胃も平常に戻った。後は、お口の炎症が収まる事を祈りながら、日々、粘土細工のように、薬を丸め込んでいる。
セカンドオピニオン、必要ですね~~~