本
ブラック・ショーマンと名もなき町の殺人

リブ編みの作りすぎのせいか、右手親指の付け根から肘にかけて、ずーんとした痛みが強くなってきたので、編みたいものはまだまだあるが『少しお休みしなさいよ』という事だろうと、本を読むことに。
新聞の広告にあって気になっていたのが、これっ!

ブラック。ショーマンと名もなき町の殺人
東野圭吾 光文社
名もなき町で、殺人事件が起こった。殺された元教師の弟・武史、娘の真世が犯人さがしに奮闘する。時代背景は、現在と同じコロナ禍で起こった。お葬式や同窓会、町おこし計画もそうなるのかと、納得する部分も多く、実にタイムリーな話である。
元マジシャンという経歴をもつ武史に翻弄される真世。この二人のやりとりが、とても、おもしろい。武史は、心理分析などもふまえ、手品を次々と披露するかのような展開に、戸惑う真世は、ギャラリーと化し、読み手は、双方をみているかのように話はすすんでいく。
以前、「マジックを見た時、欧米人は、パフォーマンスを楽しむが、日本人は、トリック(仕掛け)に関心を持つ」という話を聞いたことがあるが、この本は、その両方を兼ね備えているように思える。
真世の同級生たちを、ドラえもんの登場人物に例えていたのも、ユーモラスであった。
読み終えた後、スケールの大きいマジックショーを見ていたかのような感覚で、拍手喝采してしまったのは、この本が初めてである。