暮らし
干し大根

自覚はないが、「中高年」という枠組みにしっかり収まるお年頃となっている。
とは言うものの、味覚は、良い感じに年齢を重ねているんだなぁ~と、実感できることがしばしば。
CMやチラシなどで、ファストフードを目にしても、ひと昔前なら『これは食べておかなきゃっ!』とか、『どんな味だろう・・・?』と興味深く思ったものですが、今では、一切、興味がわかない。自然の成り行き(衰えではないと思いたい)のせいか、「ひと手間」「時間をかけたもの」に、惹かれることが多いような気がする。
先日の干し柿も、若い頃は『これのどこが美味しいんだろう?』と食べるには食べたが、美味しさや良さは全然わからなかった。

それが今では、少し手間をかけ、太陽や自然の恵みを受け取ったものが、美味しくてしかたがない。
関西の長寿バラエティ番組「ちちんぷいぷい」という、ゆる~~い情報番組がある。
5,6年前、「キッチンぷいぷい」という料理コーナーで、干し大根の煮物を紹介していた。干し大根は、料理の先生の板前さんが自ら作ったものといい、食したゲストたちの感想も「不思議な食感」といった声があがり、興味は『ふ~~~ん。』と流れていたが、頭(心)のどこかでひっかかっていたように思う。
最近、野菜が安い!
独身女子としては、いくら野菜が安くても、量が多くては、後々プレッシャーになるだけで、‘食品ロス’という響きがガンガン鳴ることになる。
だが、先日、そこそこ大きい大根が1本60円で売っていた。
とりあえず、買ってみた。半分は、豚バラ大根を作り美味しく出来た。が、
残り半分、どうしようか・・・?と思ったところ、ふと、昔見たテレビの記憶がよみがえり、ダメもとで、干し大根を作ってみた。
皮をむき、4、5cmの厚さに切り、ベランダに干してから、みるみるうちに、小さくなり、一週間で、こんなに小さく可愛い存在を目にすることになった。

以前、干しシイタケも作ったことがあるが、こういった乾物モノは、乾いて小さくなっていく過程がとても楽しめる。
出来上がった干し大根を、30分ほど水に浸し、だし汁で炊く。
ほどよく味がしみ込んだ干し大根を、ひとくち口にした。

「ちちんぷいぷい」のゲストたちがコメントしていた通り「不思議!」としか言いようのない、食感と味わい。表現がとても難しいのだが、しいて言えば、温かい大根の漬物を「ふにゃぁ~」と食べてます的な・・・
大根なんだけど、ちくわやさつま揚げのような、でも、味は大根、食感は練り物!
って感じなのです。
不思議な食感に味をしめて、今度は、大根一本干してます。

お正月に、煮物にしておいしくいただきましょう!